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コラム
2018年1月30日

導体施術の機序⑦

人間の筋には、骨格筋,平滑筋,心筋があります。骨格筋はその名の通り骨格に付着していて、骨格を支えかつ動かします。つまり身体を動かすのが骨格筋。平滑筋は内臓を構成している筋肉。いわゆる焼肉などのホルモンと呼ばれるものです。心筋は心臓の筋肉。心臓は一生涯休むことなく動き続けています。それだけに、特殊な構造と機能を備えています。

導体が直接働きかけるのは、もちろん骨格筋。骨格筋は当然ながら、脳と神経で繋がれています。体性神経と呼ばれる神経で、脳から出て、脊髄を取って、精髄の前根から出て、それぞれの筋肉にいきます。正確には筋繊維に。神経というのは、脳から筋に命令を伝える繊維(遠心性)と、筋からの情報を脳に伝える繊維(求心性)があります。先ほどの脊髄前根から出ている繊維は遠心性。そして脊髄後根に入ってきて脳に情報を伝えるのが求心性。すなわち、筋がどれくらい収縮しているか、その情報は求心性神経によって、脳に送られています。その情報を判断して、脳はどれくらい強く収縮するかという命令が、前根から出ている遠心性神経を通って筋に伝えられ、筋が収縮する、つまり骨格を動かす=身体が動く、というプロセスになっています。

ここで重要なのは、今どれくらい強く筋が収縮しているかという情報は、四六時中脳に送られていることです。常に緊張つまり収縮している筋の情報は、もちろんのこと脳に送られています。ということは、常に収縮している、言い換えると硬くなってる筋、凝っている筋からはその情報が送られている。それが常態であるが故に、脳はそれを正常であると認識してしまうということになります。いわゆる、自分の肩や首が凝っているのに、それに気づいていない人の場合などですね。こういう人が実に多いのは間違いない。硬くなっている、凝っているという実感がないので、何とかしようとはしない。そうした人達には、弛緩した状態を体感してもらうのが手っ取り早い。

そこで、導体施術。すると筋は一時的にせよ弛緩します。そして、その収縮のレベルが下がった情報が、脳に送られます。

脳は常に筋の収縮レベルを、あるところに保とうと、収縮するように命令を出しています。ということは、求心性神経の入力に応じて、遠心性神経による収縮の命令が筋繊維に送られている。なので、脳から出される収縮の命令のレベルを下げるには、入力の情報を調節することが必要。つまり、筋から送られる強い収縮の情報を変化させることが大切であるとわかります。硬くなった筋は、その情報を脳に送りますから、そのままでは相変わらず強く収縮する命令が出されます。

筋を柔らかくするために有効なのは、先ずは硬くなった筋を施術によって弛緩させる。その結果、脳から出される収縮の命令のレベルを下げる。

筋の緊張を解きほぐすということは、このように脳―神経系が関わることなのですね。



(一社)日本導体協会顧問

吉備国際大学社会科学部スポーツ社会学科教授

竹内 研