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コラム
2017年12月29日

導体施術の機序⑥

前回は、導体伝振技法を用いて、筋肉に振動を与えると筋の伸縮が起き、硬くなった筋が解れる。さらには、筋の中を通る血管が圧迫と解放を繰り返されるので、中を流れる血液の流れが良くなる(ミルキングアクション)ということをお話ししました。ただし、ここで注意すべきは、どの程度の強さ、言い換えれば振幅や周波数の振動であるか、ということです。強すぎる振動が加わると、筋は緊張して返って硬化してしまいます。振動の振幅と速度、これが重要!ここにこそ、この技法の奥義のひとつがあります。

さて、導体を施術すると、関節可動域が広がるのは皆さんよくご存じ。導体を初体験された方々は、一様にこの変化に驚かれるわけですね。

では、可動域はどんなメカニズムで変化するのでしょうか?

実は、可動域に影響する要因は、単純ではありません。そこには心理的な要因までもが、関与しています。

まず可動域について、基本的に知っておきたいのは、伸展反射(stretch reflex)です。これを簡単に説明すると、筋はゴムのような物だというイメージを持つとわかりやすいと述べましたが、正しくそうでして。筋そしてその端にある腱、これらがどれくらい伸ばされているか感知するセンサーが、筋や腱にあります。それが筋紡錘と腱紡錘。このセンサーが伸ばされ具合を感知して、あるレベルを超えて伸ばされると、筋や腱に収縮するように命令が出されます。それによって、短縮性の収縮が強まり、それ以上伸びなくなります。ストレッチングをやると関節可動域が大きくなるのは、この伸展反射の起き方が変わるから。ストレッチングをやると体が柔らかくなると一般的には思われていますが、意外に筋自体が柔らかくなる程度は大きくないということですね。とは言っても、ストレッチングもマメにやった方が良いのはちがいない。ただし、伸ばし過ぎには注意。

導体施術によって可動域が大きくなるのは、伸展反射のメカニズムによるのではありません。それは、筋自体の硬度が変化することによると考えられます。あるいは、振動による神経系への作用。

私達人間の筋や関節などを硬くしてしまうのが、カルシウムの蓄積であることは、良く知られています。

カルシウムが沈着すると、筋が硬化したり、関節の動きが悪くなります。五十肩の原因でもありますね。そして、全身いたるところの筋でも、カルシウムの蓄積が起きて、筋が硬くなっていきます。そしていきつくところは、石灰化。

こうなると、当然、筋が収縮しづらくなって、可動域は小さくなります。

さて、そこに適切な振動が加えられると、微妙な筋繊維の収縮が起きます。

これは私見ですが、このことによって、筋中のカルシウム蓄積に改善が期待できると考えてます。

年齢と共に、または運動不足によっても、筋の硬化つまりカルシウム蓄積は促進されます。なので、日頃から筋に上手に振動を加えることによって、これを防いだり、改善したりできると思います。

そのために、導体の基本的な技法は、シンプルで誰もが習得できるという良さを備えてますね。



(一社)日本導体協会顧問

吉備国際大学社会科学部スポーツ社会学科教授

竹内 研